民法・関連法令法令基準日 2019年4月1日
令和元年度(2019年)管理業務主任者試験 問6
同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- 1AB間の売買契約を、売主Aが、買主Bの詐欺を理由として取り消した場合においては、Aの原状回復義務とBの原状回復義務とは同時履行の関係に立たない。
- 2AB間の建物の賃貸借契約が期間の満了により終了する場合において、それに伴う賃貸人Aの敷金返還債務と賃借人Bの建物明渡債務とは、特別の約定のない限り、同時履行の関係に立たない。
- 3AB間の借地契約の終了に伴い、賃貸人Aに対して賃借人Bの建物買取請求権が行使された場合においては、その土地の賃貸人Aの建物代金債務と賃借人Bの建物土地明渡債務とは、同時履行の関係に立つ。
- 4AB間の金銭消費貸借契約にかかる担保のために、債権者Aに対して債務者Bが、自己所有の土地に抵当権を設定した場合においては、Aの抵当権設定登記の抹消義務とBの債務の弁済とは、同時履行の関係に立たない。
正解 肢1
出典:令和元年度 管理業務主任者試験 問6。本サイトは非公式の学習サイトです。
解説AI解説
本問の論点
同時履行の抗弁権が認められる範囲を問う問題である。双務契約から生じる対価的な債務でなくても公平の見地から同時履行の関係が認められる場合があり、判例がどの場面で肯定し否定しているかが問われる。
正解の根拠
契約が取り消された場合、当事者双方が負う原状回復義務は、同一の契約から生じ相互に対価的な関係に立つから、公平の見地から同時履行の関係に立つ。この結論は取消しの原因が詐欺であっても変わらず、詐欺を行った者が返還を受ける立場になるとしても、双方の原状回復義務を引換えに履行させるのが公平にかなう。肢1はこれを同時履行の関係に立たないとしており誤っている。よって、正解は肢1。
各肢の検討
肢1: 誤り。取消しに伴う双方の原状回復義務は同時履行の関係に立つ。
肢2: 正しい。敷金返還債務は明渡しが完了して初めて発生するから、建物明渡債務と同時履行の関係に立たず、明渡しが先履行となる。
肢3: 正しい。建物買取請求権が行使された場合、建物代金の支払と建物及び敷地の明渡しは同時履行の関係に立つ。
肢4: 正しい。抵当権設定登記の抹消義務は被担保債務の弁済によって初めて生じるから、弁済が先履行であり同時履行の関係に立たない。
一言まとめ
一方の債務が他方の履行によって初めて発生する関係なら先履行、同時に発生し対価的なら同時履行と判断する。
一問一答各肢の正誤
×肢1AB間の売買契約を、売主Aが、買主Bの詐欺を理由として取り消した場合においては、Aの原状回復義務とBの原状回復義務とは同時履行の関係に立たない。
誤り。取消しに伴う双方の原状回復義務は同時履行の関係に立つ。
○肢2AB間の建物の賃貸借契約が期間の満了により終了する場合において、それに伴う賃貸人Aの敷金返還債務と賃借人Bの建物明渡債務とは、特別の約定のない限り、同時履行の関係に立たない。
正しい。敷金返還債務は明渡しが完了して初めて発生するから、建物明渡債務と同時履行の関係に立たず、明渡しが先履行となる。
○肢3AB間の借地契約の終了に伴い、賃貸人Aに対して賃借人Bの建物買取請求権が行使された場合においては、その土地の賃貸人Aの建物代金債務と賃借人Bの建物土地明渡債務とは、同時履行の関係に立つ。
正しい。建物買取請求権が行使された場合、建物代金の支払と建物及び敷地の明渡しは同時履行の関係に立つ。
○肢4AB間の金銭消費貸借契約にかかる担保のために、債権者Aに対して債務者Bが、自己所有の土地に抵当権を設定した場合においては、Aの抵当権設定登記の抹消義務とBの債務の弁済とは、同時履行の関係に立たない。
正しい。抵当権設定登記の抹消義務は被担保債務の弁済によって初めて生じるから、弁済が先履行であり同時履行の関係に立たない。
法令基準日:2019年4月1日現在で施行されている規定に基づく。本サイトの解説は学習補助を目的とし、法的助言ではありません。