民法・関連法令法令基準日 2017年4月1日
平成29年度(2017年)管理業務主任者試験 問3
売主Aと買主Bが、マンションの一住戸甲(以下、本問において「甲」という。)の売買契約(以下、本問において「本件契約」という。)を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 1本件契約が、AとBの通謀虚偽表示により締結された場合、Bが甲の所有者と称して、甲を、その事情を知らないCに譲渡したときであっても、AはCに対し、自己の所有権を主張することができる。
- 2本件契約が、Bの強迫により締結された場合、Bが、甲を、その事情を知らないDに譲渡したときは、Aは、Bに対する意思表示を取り消したことをDに対抗することができない。
- 3本件契約が、Bの詐欺により締結された場合、Aに、それを信じたことに重大な過失があったときでも、Aは、売却の意思表示を取り消すことができる。
- 4本件契約が、甲とは別の住戸を購入する意思を有していたBの錯誤により締結された場合、Bにその錯誤による本件契約の無効を主張する意思がなくても、Aは、原則として本件契約の無効を主張することができる。
正解 肢3
出典:平成29年度 管理業務主任者試験 問3。本サイトは非公式の学習サイトです。
解説AI解説
本問の論点
住戸の売買契約における意思表示の瑕疵を問う問題である。通謀虚偽表示・強迫・詐欺・錯誤の四類型について、効果が無効か取消しか、善意の第三者に対抗できるか、誰が主張できるかを区別できるかが問われている。
正解の根拠
民法第96条第1項は、詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができると定めている。同項は取消しにあたり表意者に重大な過失がないことを要件としていない。したがってAは、Bの詐欺を信じたことに重大な過失があったときでも、売却の意思表示を取り消すことができる。よって、正解は肢3。
各肢の検討
肢1: 民法第94条第1項は、相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とすると定め、同条第2項は、その無効は善意の第三者に対抗することができないと定めるから、誤り。
肢2: 民法第96条第3項は、詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができないと定めるにとどまり、強迫にはこの制限がないから、誤り。
肢3: 前記のとおり詐欺による取消しに重過失の制限はなく、正しい。
肢4: 民法第95条第1項は、意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とすると定めるが、判例上、この無効は原則として表意者Bのみが主張でき、相手方Aは主張できないから、誤り。
一言まとめ
重大な過失が効くのは錯誤だけ、善意の第三者保護があるのは虚偽表示と詐欺だけ、と対で覚える。
一問一答各肢の正誤
×肢1本件契約が、AとBの通謀虚偽表示により締結された場合、Bが甲の所有者と称して、甲を、その事情を知らないCに譲渡したときであっても、AはCに対し、自己の所有権を主張することができる。
民法第94条第1項は、相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とすると定め、同条第2項は、その無効は善意の第三者に対抗することができないと定めるから、誤り。
×肢2本件契約が、Bの強迫により締結された場合、Bが、甲を、その事情を知らないDに譲渡したときは、Aは、Bに対する意思表示を取り消したことをDに対抗することができない。
民法第96条第3項は、詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができないと定めるにとどまり、強迫にはこの制限がないから、誤り。
○肢3本件契約が、Bの詐欺により締結された場合、Aに、それを信じたことに重大な過失があったときでも、Aは、売却の意思表示を取り消すことができる。
前記のとおり詐欺による取消しに重過失の制限はなく、正しい。
×肢4本件契約が、甲とは別の住戸を購入する意思を有していたBの錯誤により締結された場合、Bにその錯誤による本件契約の無効を主張する意思がなくても、Aは、原則として本件契約の無効を主張することができる。
民法第95条第1項は、意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とすると定めるが、判例上、この無効は原則として表意者Bのみが主張でき、相手方Aは主張できないから、誤り。
関連条文解説で引用
- 民法第96条第1項
- 民法第94条第1項
- 民法第94条第2項
- 民法第96条第3項
- 民法第95条第1項
法令基準日:2017年4月1日現在で施行されている規定に基づく。本サイトの解説は学習補助を目的とし、法的助言ではありません。